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建築紛争
責任追及先(欠陥住宅問題の場合)
欠陥住宅問題については、以下のような責任の追求先が考えられます。事案の性質や相手方からの回収可能性を考慮の上、追求先を選択します。
- 1 建築業者(請負人)に対する責任追及
- 建物の完成の有無によって、責任の性質が異なります。建物完成前であれば債務不履行責任の問題に、建物完成後であれば瑕疵担保責任の問題となります。
建物の完成の有無は,請負工事が当初予定された最後の工程まで一応終了し、建築された建物が社会通念上建物として完成しているかどうか、主要構造部分が約定どおり施工されているかどうか等を基準として判断されます。建物が完成してしまうと、瑕疵修補請求や損害賠償を行なうことはできますが、契約解除はできません。したがって、請負契約においては建物の完成が重要な意味を持ちます。
また,責任を追及できる期間としては,平成12年4月1日以降に締結された新築住宅の契約(売買・請負)については,住宅の品質確保の促進に関する法律(以下「品確法」と言います。)の適用があり、売買・請負とも、基本構造部分に関する瑕疵については,瑕疵担保期間を引渡時から10年とし,この期間を短縮する合意は無効となります。ここでいう基本構造部分とは,「構造耐力上主要な部分」及び「雨水の侵入を防止する部分」を指します。構造安全の確保と風雨をしのげることは,住宅にとって最低限必要なことであるとして、特に責任が強化されています。 - 2 建売住宅の売主に対する責任追及
- 売買契約の目的物である建物に隠れた瑕疵が存在していた場合,買主は,売主に対して損害賠償を請求することができます。さらに、その欠陥のために住居として住むことができない等売買契約を締結した目的を達成することができないときは、請負契約の場合と異なって、買主は、売買契約を解除することもできます。また、この解除又は損害賠償請求は、前述のとおり品確法により、「構造耐力上主要な部分」及び「雨水の侵入を防止する部分については、引渡時から10年間可能であり,この期間を短縮する合意は無効となります。品確法は請負契約だけでなく、売買契約についても適用があるため、買主の選択により、売主に対して、欠陥を修理するよう瑕疵修補請求もできます。
- 3 設計者に対する責任追及
- 設計の内容が建築主の指示した内容と異なる場合(指示違反の設計)、完成した建物に設計に由来する瑕疵がある場合(瑕疵ある設計)、設計どおりに建築工事が行われなかったために、結果的に建築主の指示とは異なる工事がなされた場合、建築工事の結果、建物に瑕疵が生じたときにそれらが設計者の工事監理の不十分にも原因があると認められる場合、設計者は建築主に対して債務不履行責任(または不法行為責任)を負います。